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【圧力センサー ベーシック #2:圧力センサーに関する精度と正確さの理解】

 オールセンサーズの圧力センサーは、最先端のMEMS半導体製造技術により製造されています。オールセンサーズの圧力センサーは、シリコン製ダイアフラム上にピエゾ抵抗素子が形成され、受圧によりダイアフラムが歪むことにより電気的出力が得られるという、一般的にピエゾ抵抗型半導体圧力センサーと言われるものです。
 いかなるアプリケーションにおいても精度は、製品が満たすべきより重要な項目となります。しかし、ピエゾ抵抗型半導体圧力センサーの精度を表す指標は多数存在し、センサーを使用する側にとって、非常に分かりにくいものとなっています。この章では、センサーの持つさまざまな精度を表すパラメーターについて記載しています。
【精度と正確さ】
 精度と正確さは共に、センサーのカタログによく使用されています。図1, 2は2つの性質の違いを明確にしています。図1は、基準値に対する正確さの統計的な分布を表しています。より優れた正確なセンサーではより狭い分布となり、より高精度なセンサーでは真の値に近くなります。図2は、精度や正確さがどれほど増減するかを示しています。


図1 精度と正確さの関係1


図2 精度と正確さの関係2
 分解能も、よく使用されるパラメーターです。正確さと違い分解能は、センサーを信頼できる値において最小の測定値で、一般的に低レベル信号においてノイズによる入力信号の変化を見つけるための重要な要素となります。
デジタルコントロールへの応用例では、センサーのアナログ出力を量子化するためのアナログ-デジタル変換(ADC)時に検討が必要となり、ビット数が増加するにつれより高分解能が必要となります。図3は、センサーの出力が量子化された時の分解能と精度との違いを示しています。


図3 精度と分解能の違いと理想的なセンサー。高分解能と高精度では上のような図となります。

【精度の特定】
 自社製品と他社製品との精度を比較する時、その比較は正しくおこなわなければなりません。しかし、精度や誤差の特定には多くの方法があります。一般的に誤差の要因は:ゼロ点誤差、スパン誤差、(非)直線性、ゼロ点における温度影響、スパンにおける温度影響、温度ヒステリシス、圧力ヒステリシス、非繰り返し性があります。精度に影響を与える可能性のあるその他の要因は、応答時間、電源比例出力、長期安定性等があります。

センサーデータを比較する際、最初におこなう事は ミリメートル水銀柱(Hg)、キロパスカル(kPa)、バール、インチH2O等、同じ圧力単位で検討をおこなう事です。通常ほとんどの圧力センサー測定は、一定の電圧と室温で測定しています。
 精度を特定する2つの主要な方法としては、トータルエラーバンド(TEB)やエラーバジェット(Error Budget) があります。TEBは、センサーの基本的な技術的要素によって規定される出力値の最大変位を示します。
 例として、変位の増幅要因として図4に示すように低温や高温での温度誤差が大きくなる領域では、許容される不正確さも大きくなります。誤差範囲も、圧力の上限・下限においては増加する可能性があります。


図4 温度誤差の要因は、温度限界では(±)3倍ほどセンサー誤差の許容範囲を拡大させます。エラーバジェットは、直線性、温度および圧力ヒステリシス、スパン温度係数、オフセット温度係数などを含みます。
図5はエラーバジェットの図です。エラーバジェットは、誤差(±)のある範囲で示され、限界領域での上限値と下限値は曲線となります。


図5 エラーバジェットは、通常レベルでの最大及び最小の許容範囲で示されます。
精度に影響するその他の要因には、センサーの出力特性(直線性)の問題や実際に使用されるアプリケーションの動作点での特性があります。例えば、フルスケール領域上下限ぎりぎりでの使用は、適切ではないと言えるでしょう。

【要求される精度の確保】
 センサーの精度を検討するには、ふたつの異なった見方があります。センサーメーカーの精度に関する考え方は、センサーの製造に関わる技術的要因の他、センサーをテストするテスト機器、テストの容易さ(しばしば費用コストに反映します)そして実際に使用される市場マーケットの規模(自車、医療、一般)などに関連しています。一方センサーのユーザー側が異なるメーカーの製品比較をする際には、ユーザー側の実際に使用されるアプリケーションにベストフィットするセンサーを選択しなければなりません。

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